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小さな気付きを大切に。マインドフルネスな考え方でストレス過多な今を乗り切る
マインドフルネスとは、今、この瞬間に意識を向けた状態のこと。脳を活性化させるだけでなく、ストレスの軽減、仕事のパフォーマンス向上といった効果があるとされ、海外の大手IT企業や、スポーツ選手などでも日々のルーティンに取り入れていることから、医学界やビジネスの世界でも注目されている。コロナ禍でストレスを感じながら生きる人も多い昨今、どんな風にマインドフルネスを取り入れれば、より健やかに過ごせるのか。山下あきこさんに話を伺った。
山下 あきこ
山下 あきこ
株式会社マインドフルヘルス代表
内科医、神経内科専門医、抗加齢医学専門医
医学博士

コロナ禍のリモートワークでストレスを抱える人が増加中

コロナ禍になり、ストレスを感じる人が増えたと聞きます。山下先生は産業医としても勤務されていますが、現場の体感的にはどんな感じでしょうか。

山下あきこさん

ストレスを感じる人は増えていると思います。特にリモートワークをされている方は、ストレスが顕著に出ています。通勤せずに自分のペースで仕事ができるので、リモートワークが良いと感じている人もいますが、期間が長くなってくると、月の半分くらいは出社したほうが調子もいいと感じる人が多いようです。
リモートワークだと、雑談もできずコミュニケーションが円滑に進まない。初仕事で不明点があっても誰にも質問できず、他の人が残業しているのが画面越しにわかると、仕事が切り上げられず、夜中まで働いてしまうこともあるようです。

リモートワークイメージ

企業の産業医として面談もしているのですが、オフィスワーカーの30代後半から40代前半の方の面談が増えている印象で、みなさん優しい言葉をかけると泣いてしまう。それだけ張り詰めた状態が続いているということですね。コロナが流行する前は、そこまでの方はいなかった印象です。

ストレスフルの状態が続くと、心身にどんな悪影響が出てくるのでしょうか。

ストレスサインでわかりやすいのは、夜中に何度も目が覚めるとか、睡眠に影響が出てきますね。夜中に目が覚めてしまったり、例えば朝7時に目覚めればいいのに5時くらいから起きてしまったりするときも要注意ですね。

ストレスサイン

気がかりなことがある、何かに追い詰められている、やることが山積みだったりすると、脳がずっと走り続けている状態になってしまいます。その状態だと、夜中にしっかり休むことができず、「もう起きなければ」「頑張らなきゃ」という信号を脳が出してしまうのだと思います。

心と身体を整えてくれた、マインドフルネスな考え方

山下先生がマインドフルネスを知ったきっかけを教えてください。みんなに広めたいと思ったのはなぜですか?

最初にマインドフルネスの概念に触れたなって思ったのは、20年ほど前になります。世界中から秀才が集まってくるようなアメリカの病院に2年間留学していたのですが、私の前に来ていた先輩たちはものすごく業績を上げて、何十本もの論文を書いていて。私もなんとか成果を残さなきゃと必死でしたが、大した成果を残せなくて、自分は駄目だな、将来どうなるんだろう、そもそも何でアメリカに来てしまったのか・・・。そんなことを考え、うつになってしまいました。

イメージ

一時帰国したとき、相田みつを美術館に立ち寄った際に、『いま ここ』という書に出会ったのですが、有名な病院で勉強させてもらっているのに、過去や未来のことばかり考えて何をしているんだろう。今に打ちこめば良いのにと、書を読んでハッとさせられました。

帰国後、学会の席でドクターが「診察の前には必ずマインドフルネスしています。瞑想をしています」と話しているのを聞いて興味を持ちました。調べてみると、マインドフルネスは自分の心も整えることができるし、健康づくりにとても役に立つ。自分自身がメンタルダウンして辛い思いをしたこともあるので、これからはマインドフルネスを健康づくりの原点として伝える仕事をしたいと思い、会社を立ち上げました。

まず自分に意識を向けること。その瞬間の感情と思考を大切に

マインドフルネスという言葉を知っていても、具体的に何をすべきなのか、どんなことなのかはっきりわからない方もまだ多いと思います。どうすればマインドフルネスの状態になれますか。

マインドフルネスは、自分に意識を向けること。目を閉じてじっとしている瞑想をイメージする方も多いと思いますが、このインタビューを受けている今もマインドフルネスな状態です。それは、インタビュアーがいて、私の声を受け取ってもらっているなぁと感じることができる状態だから。でも、話をしながら「この後の用事は何時からだっけ?」など、他のことが頭をよぎってしまうときはマインドフルネスではないし、心もザワついている証拠です。

車窓からのイメージ

窓の外を見て、今日は空がキレイだなと思えただけでもマインドフルネス。普通は「外を眺めていても仕事が進まないな」と、いろんな思考が沸きあがってきて我に返ってしまう。我に返っていると気がつくのもマインドフルネスですし、自分の感情や思考をその瞬間で感じることができるのが、究極のマインドフルネスですから。

そんな簡単なことがマインドフルネスになるのですね。心や身体が満たされたハッピーな状態でないと、マインドフルネスではないと勘違いしていました。

別にポジティブシンキングじゃなくていいんです。マインドフルネスの講師をしている仲間もいますが、誰しもハッピーなわけではなく、愚痴も言うし、家庭の不安もありますよ。そういったネガティブなことにも気付けるかが大事なのです。

イメージ

マインドフルネスの状態でいると何か良いことがあるのでしょうか?

健康面ではすごくメリットがあります。まず免疫力が上がるといわれています。普段から瞑想するなど、マインドフルネスを意識している人は、ワクチンを打った時の抗体価があがるという論文も発表されています。また、アメリカのブラウン大学の研究では、マインドフルネスを実践している糖尿病患者は、そうでないグループに比べて血糖値を正常にコントロールできている割合が35%も高いというデータもあります。

マサチューセッツ大学医学大学院教授で、マインドフルネスセンターの創設所長でもあるジョン・カバット・ジン博士の研究では、乾癬(かんせん)という皮膚疾患の回復スピードがマインドフルネスで促進されるとされています。皮膚のかゆみとマインドフルネスは関係がなさそうにみえますが、こんなことをするとかゆみが起きる、イライラするとかいてしまうなど、気付きが高まることで自分の身体の変化にも気を配り、早めの対処ができるからだそうです。

なるほど。まずは自分の状態に気が付くということが大切なのですね。ちなみに、ストレスフルな状態だと、どんなリスクがあるのでしょう。

先ほども述べましたがストレスフルの状態だと、自律神経が乱れてしまい、睡眠などに影響が出ます。また、別名ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが副腎皮質から分泌されて、脂肪をためやすくなり、肥満にもつながります。血圧が上がり、免疫力も低下するので、健康を害してしまうリスクがありますね。

会社でもできる食べる瞑想や歩く瞑想を取り入れて

ストレスフルな状態からマインドフルネスな状態に近づけるには、どのようにすればいいですか。簡単に実践できることはありますか。

実践のイメージ

マインドフルネスの実践として、呼吸法や瞑想もありますが、私は食べる瞑想をお伝えすることが多いですね。例えば会社でコーヒーを飲むときも、つい新聞を読みながら飲みたくなるところを、自分の意識を全部コーヒーに向けてみましょう。コーヒーカップの温かさ、湯気、香りをじっくり感じながら、もうコーヒーを飲むことだけにマインドフルにする。そうすると、ずっと意識をコーヒーに向けているから別のことを考える隙間がなくなり、脳も休まります。

実践のイメージ

あと、以前私がやっていたのは、就業時間にトイレに行くときは「歩く瞑想をしよう」と、足の裏に意識を集中させて歩く。マインドフルネスは、今ここに意識を向けることなのですが、普通に過ごしているとどうしても自分の意識が散漫になってしまいますよね。コーヒーや足の裏など何でもいいのですが、意識のアンカーをどこかにどしっと構えるトレーニングをするのがおすすめです。

コロナ禍では人との接触が制限され、周囲と会話する機会も減り孤独になりがちです。
テレワークをしている人も多いY世代。つながりを持つことの大切さや、マインドフルネスな生活をするためのアドバイスをいただけますか。

今後の未来社会を見据えると、家族や会社の同僚、地域の人など自分が関わるコミュニティを増やすのはいいことだと思います。家族だけ、会社だけではなく、他にコミュニティがあれば、がんじがらめになってしまっている自分の役割から離れられますし、いつもとは違う自分も発見することもできます。普段とは違う視点から自分を見ることができるという観点からしても、コミュニティを増やすこと、SNSで趣味が合う人などと友達になるなど、誰かとつながることはマインドフルネスにとって有効だと思います。

マインドフルネスな生活のイメージ

マインドフルネスな生活のためには、まず自分自身に意識を向けて、何が自分を整えてくれるかということに気付けるようになるのが大切だと思います。Y世代を見ていると、欲求を満たすことを幸福だと思っている方が非常に多い。例えば、ビールを一気に飲んだら幸せだと思っているかもしれませんが、飲みすぎると翌日がしんどくなってしまいますよね。
できるなら、翌日の自分にギフトをあげるつもりで、毎日自分の身体と気持ちに思いやりを持って行動してほしい。「明日の私が元気に働くためには、夜更かししないほうがいいよね」、「疲れが溜まっているから、働きすぎない方がいいよね」など、少しお説教のようになってしまうのですが、自分への思いやりを持つ、自分のメンテナンスができるようになることが大事。そうすることで、健康な身体づくりにも役立つし、健やかなメンタルにも直結していくと思います。

私はお酒もタバコもたくさんたしなんでいたし、どちらかというと自分を痛めつけてきたタイプの人間でした。でも、自分に対する気付きを深めて、自分が快適な道を選びだしたら少しずつ生活も考えも変わったという実体験があります。ぜひY世代の方にも、マインドフルネスを取り入れていただけたらと思います。

山下 あきこ
山下 あきこ
内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年に川崎医科大学を卒業し、同大学の総合診療部での研修を経て、福岡大学病院の脳神経内科に入局。米国フロリダのメイヨークリニックにて先端脳研究にも関わり、パーキンソン病の研究で「MDS Young Scientist Award」(国際運動障害学会の優秀若手研究者向け賞)を受賞。
帰国後、臨床内科医として勤務したのち、健康を自分で作る社会をめざし、株式会社マインドフルヘルスを設立。より健康で幸せに暮らせる社会に向けて、健康セミナーやビジネスセミナーなどを行う。
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