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ブルーカーボンで地球を救う 豊かな海域環境を未来へ繋ぐ「博多湾NEXT会議」とは
海洋生物の作用によって、大気中から海中へ吸収された二酸化炭素由来の炭素である「ブルーカーボン」。陸上の植物により吸収される二酸化炭素由来の炭素「グリーンカーボン」と並び、二酸化炭素の吸収源としてその活用に期待が高まりつつある。博多湾東部のエコパークゾーンでは、15年ほど前から、アマモ場づくりなどの自然と人との共生をめざした取り組みが行われており、2018年には博多湾の各地域でアマモ場づくりを行っている団体などが繋がり、博多湾全体で連携した活動を行う「博多湾NEXT会議」が発足。その取り組みについて、福岡市港湾空港局みなと環境政策課の久原さんと大倉さんにお話を伺った。
アマモとは。
水深1〜3m程の沿岸砂泥地に自生する海草(うみくさ)の一種。海藻とは異なり根・茎・葉の区別があり、海中で花を咲かせて種を作る種子植物。小魚や甲殻類などの棲みかになるだけでなく、海をきれいにし、光合成により二酸化炭素を吸収して酸素をつくる。ブルーカーボン生態系のひとつ。
久原 明子
久原 明子
福岡市港湾空港局港湾計画部みなと環境政策課長
大倉 健一
大倉 健一
福岡市港湾空港局港湾計画部みなと環境政策課
環境共創係長

行政と市民や団体、学校等が連携・共働する「博多湾NEXT会議」とは?

もともと博多湾では、環境保全活動が行われていたそうですね

福岡市の博多湾東部には、1994年から開発がスタートしたアイランドシティという埋め立て地があります。その周辺の海や海岸550ヘクタールを、自然と人との共生をめざす「エコパークゾーン」と位置づけ、アマモ場づくりなどの自然環境の保全、創造の取り組みを行っています。エコパークゾーンには国内有数の渡り鳥の飛来地である和白干潟(わじろひがた)があり、自然豊かな環境を守るための環境保全活動が行われてきました。

具体的にはどんな活動が行われていたのでしょうか?

取り組みの1つとして、2005年からアマモ場づくりを行っています。アマモは、浅い海で育ち、花を咲かせて種を作る海の植物です。そのアマモが群落を形成するアマモ場は、"海のゆりかご"とも呼ばれていて、小魚の隠れ家や生き物の産卵、生息の場所としての役割を果たすとともに、光合成による二酸化炭素の吸収や酸素の放出、海底に地下茎を張ることで海底を安定化させる役割を担っています。さらに、窒素やリンを吸収することで水質改善にも役立つなど、海中の環境を守る大切な仕事をしている植物です。

博多湾全域で連携した活動

そのアマモ場づくりが、「博多湾NEXT会議」へ繋がっていったわけですね

博多湾では、さまざまな場所で市民団体の方や学校などがアマモ場づくり活動に取り組まれています。そこで、各主体がさらに連携し、博多湾全体で共働していくために、2018年に「博多湾NEXT会議」を設立しました。現在、会員は市民団体や漁業関係者、企業、学校、行政などの57の団体や、個人会員27名(令和5年1月24日時点)で構成されています。

多様な主体との交流の場を提供するネットワーク

「博多湾NEXT会議」としては、どのような取り組みを?

学識経験者の方々や環境保全活動に取り組む団体、学校関係などの会員の方々が、アマモ場づくりなど博多湾の環境保全・創造の活動を連携して行うほか、博多湾の環境に関わる課題や科学的知見を共有するための情報交換や、博多湾の魅力発信なども行っています。

博多湾NEXT会議

アマモ場づくりはどのように?

博多湾とひとくくりに言っても、海域によって特徴が異なり、また活動に参加する方の年齢等も様々なので、それぞれの特性に合わせた手法でアマモ場を増やす活動を行っています。

アマモ

博多湾・能古島(のこのしま)のアマモ場

例えば、寒天粘土で作った団子にアマモの種を付けた種子団子を海に投げ込むイベントもそのひとつです。アマモの種子が海底に沈んで定着しやすく、また環境に優しい寒天粘土を使い、好きな形で団子を作るところから始めるので、お子さんたちも楽しんで参加していただいています。

個人で登録される会員の方もいらっしゃるそうですね

個人会員の中には、有識者や学識経験者のほか、博多湾に興味を持っている大学生、フードコーディネーター、魚を扱う飲食関係の方もいらっしゃいます。あと、「博多湾NEXT会議」の特徴ともいえるのが、漁業関係者の方も会員として加わっていただいていることです。漁業関係者の方は海や博多湾のことを本当によくご存じなので、活動をしていくうえでとても重要なポジションを担っていただいています。私たちは事務局として、会員同士のネットワークの構築を行っており、何か行動したいという方がいらっしゃれば、情報を共有しています。その後は興味を持つ個人や企業、団体が自主的に連携・共働した活動を行うなど、会員の方たちの活動の場はどんどん広がっています。

新たな取り組みとして、Webを活用したシンポジウムも開催されたそうですね

「豊かな博多湾の環境を未来へ~アマモ場づくりとSDGsで繋がる輪~」をテーマに、博多湾市民シンポジウムをオンラインで開催しました。内容としては、博多湾に面している水族館「マリンワールド海の中道」から、博多湾NEXT会議の会員が取り組んだアマモ場づくり活動の様子を、実際に活動を行った高校生と中継を繋いで紹介したり、令和2年度に「博多湾ブルーカーボンクレジット」をご購入いただいた企業や団体からは、脱炭素社会に向けた取り組みについて発表していただいたりしました。

博多湾市民シンポジウム

このオンライン配信は大変好評でして、当日100名以上、アーカイブ配信で1,000回以上ご視聴いただいています。

博多湾の環境保全に貢献できる「ブルーカーボン・オフセット制度」

2020年に創設された「博多湾ブルーカーボン・オフセット制度」について教えてください

アマモ場づくりの実績を活かしながら、近年注目されている二酸化炭素の吸収源としてのアマモ場の効果、ブルーカーボンとしての価値に着目し活用するために、自治体としては全国で2番目に「ブルーカーボン・オフセット制度」を2020年10月に創設しました。

博多湾ブルーカーボン・オフセット制度

この制度は、博多湾のアマモ場などの藻場が吸収固定した二酸化炭素量をクレジット化して販売し、市民の日常生活や企業の事業活動によるCO2排出量のうち、努力しても削減できない分を購入してオフセット(埋め合わせ)する制度です。販売収益については、アマモ場づくり活動を始めとした博多湾の環境保全・創造の取り組みに活用しています。

どんな方が購入されていますか?

販売収益は博多湾の環境保全に活用していることから、この活動にご理解ご賛同下さるさまざまな分野の企業の方にご購入いただいております。また、個人の方も購入可能としており、福岡市外の方からのお申込みもあります。購入者へのアンケートによると購入動機で最も多かったのは「脱炭素に取り組みたいから」、次に「SDGsに取り組みたいから」「博多湾の環境保全活動をしたいから」という理由が上位を占めていました。特に印象的だったのは、中学生の方から、「豊かな博多湾を未来へと繋げていきたい」というお手紙付きでクレジットをご購入いただいたことです。

販売以降、2年連続完売されているそうですね

初年度は、クレジット販売量43.4トンを完売しました。販売価格は1トン8,800円で、個人の方にも購入しやすくするために、0.1トン880円から購入可能としました。実際に購入された方の内訳は、企業団体が14件、個人が21件と大変ご好評をいただきました。そして2年目は販売クレジット量48.5トンで、初年度に引き続き完売となりました。販売価格や単位は初年度と一緒ですが、問い合わせや購入希望が多かったことから、2年目は1件当たりの販売上限を10トンとしました。それでもたくさんの購入希望があり、申し込み量が販売量を上回ってしまったので、できるだけ多くの方にご購入いただけるよう販売量を調整したほどで、想像以上の反響に私たちも驚いています。

次世代へ繋げる持続可能な環境保全活動へ

ブルーカーボンにおける課題はどんなことが挙げられますか?

アマモ

ブルーカーボンは、2009年に国連環境計画(UNEP)が発行した報告書『Blue Carbon』の中で初めて定義された新しい概念です。ブルーカーボンは気候変動対策における二酸化炭素の新たな吸収源として近年注目されているものの、森林など陸上の植物が吸収固定する炭素「グリーンカーボン」に対して「ブルーカーボン」はまだあまり知られていません。しかし、炭素量で比較すると、陸域での炭素の吸収が19億トンに対して、海域では25億トンとも言われていて、カーボンニュートラルに貢献するブルーカーボンの認知と理解の推進は、今後の課題と考えています。

今後の目標をお聞かせください

今後も引き続き市民の方々が海に興味を持っていただける取り組みを行っていきたいと考えています。特にお子さんなど若い方に興味を持っていただいて、博多湾に足を運んで、アマモや海の環境を守る心を育んでいただければと思っています。

博多湾

また、カーボンニュートラルに貢献するブルーカーボンやブルーカーボン・オフセット制度についての認知度を高め、脱炭素社会の実現に向けた機運醸成を図ることも大きな目的のひとつであると考えていますので、多くの方々に興味を持っていただける情報発信や接点の創出にも取り組んでいこうと思っています。

久原 明子
久原 明子
福岡市港湾空港局港湾計画部みなと環境政策課長。民間企業勤務を経て、2000年に福岡市役所に入庁。現職場では、博多港の港湾活動と調和のとれた環境の保全と創造、博多湾の環境づくりに取り組んでいる。
大倉 健一
大倉 健一
福岡市港湾空港局港湾計画部みなと環境政策課環境共創係長。2003年に福岡市役所に入庁。現職場ではアマモ場づくりを中心に、市民団体や学識者、高校生などと連携・共働して、博多湾の環境保全創造活動に取り組んでいる。
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