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話題の量子コンピュータは、既存のコンピュータに取って代わる存在!?
我々の暮らしの中に、もはやなくてはならない存在のコンピュータ。近年、このコンピュータをはるかに超える性能を持つと言われる「量子コンピュータ」が注目されています。なぜ、ここまで注目されるのか?テクノロジー図鑑の2回目はこの量子コンピュータについてお話します。

なぜ注目されるのか?
従来のコンピュータの進歩を支えたトランジスタの集積化の限界

現在のコンピュータの頭脳にあたるプロセッサ集積回路と呼ばれるものはON/OFFを切り替えるトランジスタと呼ばれる電子素子を作り込んでできています。新しいマイクロプロセッサには10億個を超える膨大な数のトランジスタが集積されています。これまでのコンピュータの進歩はこのトランジスタの小型化・集積化が支えてきました。
そして過去50年間、有名な「ムーアの法則」という「同じ面積の半導体チップ上に集積されるトランジスタの数が18か月ごとに2倍となる」という経験則で進んできています。しかし、このムーアの法則も微細加工の技術に支えられていることから、物理的な限界を迎えるようになりました。そこで、さらなる計算処理速度の向上をめざすためには、従来型のコンピュータとは全く異なる方式の計算方法が期待されるようになりました。そこで近年注目を集めているのが量子コンピュータです。

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量子コンピュータとは?なぜ計算が速い?

それでは量子コンピュータと今までのコンピュータは何が違うのでしょうか?これまでのコンピュータはみなさん既にご存知のとおり、情報を「0か1」という2通りの状態で表して計算をしていました。これを半導体と呼ばれるシリコンという素材の特性を活かして実現しています。その0か1の最小単位をビットといいます。このビットが多いほど計算が速いということはお聞きになったことがあると思います。
ここで、ビットの0とか1はややこしいので、これを表裏が白と黒のオセロの駒と考えます。二つのオセロの駒がならんである場合、その状態は「白・白」、「白・黒」、「黒・白」、「黒・黒」という四つのうちの一つだけです。一方、量子コンピュータは、オセロの駒が常に回転しているような特性を活かして、一つの駒も白か黒かどちらかではなく、「白でもあるし、黒でもある」という状態を使って計算します。その結果、二つの量子ビットが並んである場合には「白・白」、「白・黒」、「黒・白」、「黒・黒」という4つの状態を同時に表すことができるのです。この状態は処理能力と言い換えられますので、より少ない駒の数で多くの計算が可能ということになります。完全に量子ビットを利用して計算できるとすると計算上、同等の掲載に必要な量子ビット数と従来のビット数を比較すると下記のようになります。

量子ビット数

つまり、量子ビットの数が一つ増えるごとに指数関数的に計算能力が向上することが直感的にご理解いただけると思います。将来、100量子ビットのコンピュータが実現すると、その計算能力は単純計算でスパコンの9,000兆倍と言われています。

そもそも量子って?

「ちょっと待って。原子なら分子なら聞いたことがあるけど、量子は聞いたことがないよ。」という方も多いかと思います。量子は原子そのものや、原子を形作っているさらに小さな電子・中性子・陽子といったものです。量子はこれという特定の物体そのものではなく、粒子と波の性質をあわせ持った、とても小さな物質やエネルギーの単位のことを指します。

量子イメージ

量子コンピュータはなぜ実現が難しい?

こうした量子は、1メートルの10億分の1を下回るようなミクロを通り越したナノと呼ばれる単位の小さな世界となっています。このように極めて小さな世界では、中学や高校で習った私たちに馴染みのある物理の法則ではなく、「量子力学」という法則に従っています。また、量子は外部からの影響を非常に受けやすいことから、コントロールするのが極めて難しいのです。その条件の一つの例として、量子コンピュータを動作させるためには、その温度は限りなく絶対零度(−273.15℃)である必要があります。そして、そもそもこの絶対零度に近づける装置だけでも相当の技術が必要となります。さらに、そんな超低温の冷蔵庫の中で、とても目には見えないサイズの量子を外部からコントロールしないことには計算に使えません。
また、従来型のプロセッサはトランジスタの集積化で性能向上が進んできました。量子コンピュータにおいても同様に、計算に利用する量子の状態である量子ビットを集積することで飛躍的に高速化が実現できます。しかし、量子ビットは極めてデリケートな性質上、トランジスタのように集積することが非常に難しく、いかにこの量子ビットの数を多くすることができるかが技術的に大きなチャレンジとなっています。

回路図イメージ

技術の進歩で徐々に実現に向かう量子コンピュータ

量子コンピュータにはまだまだ、技術的な課題は多くありますが、世界中で徐々に実用化に向け進化を遂げています。その実用化に向けては複数の方式が存在しますが、現在、量子コンピュータの種類として「ゲート方式」と呼ばれるタイプと、「アニーリング方式」と呼ばれるタイプの2種類に取組む企業が多く見られます。
両者の特性をごく簡単に説明すると、「ゲート方式」は汎用性が高く、様々な計算に利用できるのに対して、「アニーリング方式」は特定の計算、組合せ最適化問題を解くことに特化しています。近年、量子コンピュータを使った実証実験などが多く報道されていますが、その多くは「アニーリング方式」の量子コンピュータを活用したものとなっています。
また、量子コンピュータは高額なハードウェアそのものを購入しなくても、実は複数の企業が既にクラウドでの利用環境を提供しており、手軽にスタートできる状態になっています。
こうした背景から、最適化問題の応用を中心に量子コンピュータの利用用途が日々、検証されています。

2タイプの量子コンピュータ

量子コンピュータのメリット:期待される応用先

近い将来の量子コンピュータの活躍が期待される分野として、化学、創薬、材料といった分野で応用が見込まれています。これらに共通しているのは、複数の分子の組合せと、その特性をいかに把握するかということですので、まさに組合せ最適化を得意とする「アニーリング方式」が実力を発揮できます。
また、組合せ最適化という観点は実は身近にも色々な課題があります。
例えば、トラックの配送ルートが一直線上ではなく、複数存在した場合、どの配送ルートを取るかというパターンは複数存在します。そして、この配送先が増えることでそのパターンは幾何級数的に増えることになり、最適ルートの選定を比較検討するには膨大な時間がかかることになります。それが量子コンピュータだと一瞬に可能となるのです。
金融分野においては、市場リスクの計測や投資評価などが行われていますが、その際に用いられているモンテカルロシミュレーションを効率化することで、ポートフォリオの最適化と投資リスクの削減につなげることも可能となります。
メディア事業では、広告が大きな収入源となっています。その広告についてオンライン上のユーザーの行動履歴に関するデータ分析を基に、ターゲット広告の配信効果を高めることも期待でます。
その利用用途は、従来型のコンピュータがそうであったように、利用者が増えることで様々な新たな使い道が検討されていくことでしょう。

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あまり知られていない、大きなメリット:超省電力

従来のコンピュータは仕事をすると電力を消費して熱を発生しました。みなさんもパソコンやスマホで動画を視聴するといった重たい処理をした場合に、機器がすっかり熱くなっていくのを経験されていることでしょう。これはスーパーコンピュータでも同じで、計算によって膨大な電力が消費され熱として変換されていました。日本を代表するスーパーコンピュータ「富岳」は、その計算速度だけでなく、省エネルギーとして世界でも評価されています。この「富岳」が全力で計算するときに使う電力量は、1時間で30メガワット時。平均的な4人家族が一か月で使う約6年分にあたります。
しかし、量子コンピュータはそうなりません。なぜなら、量子コンピュータは絶対零度の「超電導状態」で動作するため、電気抵抗が0になり、電流が熱に変換されずに流れ続けます。このため、量子コンピュータではほとんど電力を消費しないことになります。例えば、カナダのD-Wave Systems社の量子コンピュータでは絶対零度まで温度を下げるのに20キロワットかかるが、一旦冷やすと、一度の計算自体に使う電力はわずか20Wの1千兆分の1という極めて小さい電力しか使わないとのことです。

諸刃の剣

量子コンピュータが発達することで、実は新たな脅威も誕生するのです。それはサイバーセキュリティの問題です。現在の暗号化技術は極めて単純に言うと、因数分解を応用したものとなっています。将来的にゲート型量子コンピュータの高度化が進むと、この現在の暗号方式をごく短時間で解いてしまう可能性があります。既存の暗号方式が破られる可能性が高まることでセキュリティ上の脅威が懸念されます。一方、「量子鍵配送(QKD)」と呼ばれる第三者による盗聴を確実に防止できる手法など、量子暗号を用いた秘匿通信の実用化も期待されています。

従来型のコンピュータは量子コンピュータに置き換わる?

量子コンピュータはこれまでのコンピュータを全て置き換えて、ノートパソコンやスマートフォンで利用されるのでしょうか?これについては、ここ数10年の単位では難しいと考えられています。忘れてはならないのが、量子コンピュータは万能ではないということ。現在、実用化が進みつつあるアニーリング型の量子コンピュータは、組合せ最適化は得意ですが、それ以外の計算がそもそもできません。一方で汎用性の高いゲート型コンピュータはまだまだ現在のスーパーコンピュータを超えるパフォーマンスとなるには技術的に超えなければいけない課題がいくつも存在します。特に、個人がパソコンやスマートフォンで利用するために必須となる小型化において、超低温環境で動作させるという条件をどうクリアするかというのは極めて大きな課題となります。
量子コンピュータは現在スーパーコンピュータの活用が求められている最先端の分野で着実に利用が進むことは間違いありませんが、従来型のコンピュータを追いやってしまうのではなく、量子コンピュータの得意とする分野は量子コンピュータにまかせ、不得意な分野は従来型のコンピュータが担うといった形で補完し合いながら、私たちの暮らしやビジネスに貢献していくことでしょう。

量子コンピュータを構成する要素技術

#トランジスタ
電気の流れをコントロールする部品。電気信号を増幅したりスイッチングしたりする機能を持っています。いろんな電子回路で活躍しています。

#プロセッサ
処理をする装置の総称。ITの分野での「プロセッサ」は処理をする役割のハードやソフトウェアの総称で、CPUやGPUといった様々なものがあります。

#量子暗号
量子の特性を活用した暗号技術。原理的に解読できない仕組みになっていることから、最も安全な暗号技術と言われ、近年注目されています。

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