Draw our MIRAIZ
読み込み中...
Draw our MIRAIZ

地域の明るい未来図を共に描き
発見する場所

MENU
NTT西日本
Draw our MIRAIZ
MENU

地域の明るい未来図を共に描き発見する場所

「ショッピングはわが町で」町内消費を加速させる地域通貨の導⼊と運⽤法とは
夕日が海に沈む景色で有名な静岡県西伊豆町は、令和2年に地域内の経済循環を目的に電子地域通貨「サンセットコイン」を導入。即効性のある普及をめざし、導入にあたり全町民に1人あたり10,000ユーヒ(1ユーヒ=1円)のポイントを付与したQRコードキャッシュレス決済用カードを配布し、現在、人口7,000人の町で月間1億1,000万円分のポイントが流通しているという。10,000円分のプレミアが付いていたとは言え、高齢化率が50%超と高い地域での普及をわずか2年足らずで達成させたその手法や、サンセットコインの今後についてお聞きした。
山本 友也
山本 友也
西伊豆町役場 まちづくり課 商工係

高齢化と観光客減少に直面する
静岡県西伊豆町の現在

コロナ禍以前の西伊豆町はどのような町だったのでしょうか?

漁港

西伊豆町は伊豆半島西岸に位置する、人口7,300人ほどの小さな町です。30年以上前は基幹産業が漁業で、遠洋漁業などで漁港も賑わっていたのですが、最近は後継者不足などで漁業に就業する人も減り、水揚げ量も右肩下がり。直滑降くらいの勢いで第1次産業は衰退していきましたね。高齢者比率も50%を超えていますし...。

観光に関しては、いかがですか?

近年は釣りやキャンプ、自然の景観などアウトドアを楽しみたい人たち向けの観光PRに力を入れていました。ドラマや映画のロケ地として利用してもらえるように広報を充実させるなど、外から人を呼び込む努力をしてきました。今ある資源を利用して、観光客を呼び込むしかやりようがありませんでした。それなりに観光客の方にはきていただいていましたが、それもここ2〜3年はコロナ禍でぐっと減りました。

海岸

町内消費を増やすための切り札として
以前から議題に上がっていた地域通貨

コロナ禍で観光収入が減ったことで地域通貨(以下サンセットコイン)の導入を決めたのですか?

実はサンセットコインの導入に関しては、コロナ禍になる前から話は進んでいました。ただ自治体が実施するということになると、予算などの関係でなかなか踏ん切りがつかず、今後の課題として棚上げされていたんです。

そして始まったコロナ禍。令和2年に町内でも感染者が出て、県をまたぐ移動の制限が行われ、西伊豆町としても申し訳ないけど今は観光に来ないでくれと、ある意味今までと逆のアプローチをしなければならなくなりました。結果的にはこのことがきっかけとなり、止まっていたサンセットコインの話がすぐに動き出したんです。

サンセットコインとアプリ

サンセットコイン導入に際して、どのようなことに気を使われましたか?

そもそもコロナ禍前から、買い物はネットショッピングや、静岡や首都圏方面へのお出かけなど、お金の多くが町外に流れていました。まずはここを抑えて、囲い込みをすることにより、ある程度の町内消費が望めるのではないか?と言う算段がありました。

そのためには、いかに町民に興味を持ってもらい、楽しんで使ってもらえるかが大きな課題となりました。そのために最初に、お年寄りから生まれたばかりの赤ちゃんまで、町に住民票があるすべての町民に1万円分のポイントを配ってしまおうということになりました。

そして協力店の確保にも力を入れました。まず一般募集を行い、ただ待っているだけではダメだということで、ガソリンスタンドやコンビニ、チェーン店など町内にある100軒以上のお店に参加のお願いをしに行きました。その甲斐があってか、スタート時点で100軒ほどのお店の協力が得られ、「これはいけるだろう」という自信を得ることができました。

事業者様からの疑問などにも、スピーディに対応できるように気を配り、問い合わせがあれば休日でも役場の商工係内で連絡を取り合い、すぐに伺うことができるサポート体制を整えました。

スタート後、すぐにサンセットコインは利用され始めましたか?

町の広報誌などで事前に告知は行っていたのですが、やはり初動はあまり良くはありませんでした。そこで年配の方が集まっている組織や女性の組織などに役場の職員が赴いて、「今こんなことをやっているんですよ」と説明して回りました。それはもうさまざまなツテを使って広報活動を行いましたよ。

サンセットコイン

そうすると今度は話を聞いてくれた人が仲間同士の寄り合いや、主婦の井戸端会議みたいな場所でどんどん広げてくれるんですよね。「あんたあれ使った?使わなきゃもったいないよ」みたいな話になって。

普及してきたなと実感されたのはいつくらいからでしょうか?

令和2年5月に地域通貨をスタートし、その年の7月に国のマイナポイント事業が始まりました。サンセットコインも5月の導入当初からマイナポイントへの参画を目指していました。マイナポイントを囲い込むことにより、爆発的な町内消費が見込めるのではないかと。その宣伝効果も相まって一気に広がったように感じました。

そしてさらなる利用促進をめざし、昨年、地方創生臨時交付金を利用して、5%、10%とそれぞれの動きを見ながら、試験的にポイント還元キャンペーンも行いました。今年も少しでも物価上昇と原油高騰への支援になるようにと、5月から12月まで10%還元を実施しています。その効果も大きいと思うのですが、おかげさまで今では月1億1,000万円分のポイントが動いています。人口が7,000人規模の町でこれだけの消費の循環があるということはすごいことだと思いますよ。

ポイントはいつ還元されるのですか?

還元ポイントをチャージした時につけるか、使った時につけるかの議論はありました。チャージした時にポイントをつけてしまうと、そのままタンスの肥やしになってしまう可能性が高いので、ポイント利用に即効性を出そうとするなら、還元ポイントに利用有効期限を設けて、使った時につける方がいいということになりました。

大手の電子マネーが普及していますが、気にされている部分はありますか?

電子マネーイメージ

非常にありますね。他社がポイント還元キャンペーンなどを始めるとそれは何%で期間はどれくらいかなどは必ずチェックしています。もちろん大手企業にはかなわない部分が多々あるかとは思いますが、そういった部分はサポート体制とか信用をいただいているといった部分で勝負していきたいなと考えています。

サンセットコインを導入する少し前に、電子マネーの大手が事業拡大のため多くの事業者様に話を持ちかけていました。そういった動きのおかげで、町内の事業者様も電子マネーの知識が多少あったようで、私たちの説明も比較的スムーズに進んだような気がします。この点については大手企業様に感謝ですね(笑)

町民自らが積極的に動き
新しい使い方まで提案

サンセットコイン導入後、事業者や町民からどのような声が聞かれましたか?

始めた頃は事業者様からネガティブな意見を聞くこともありました。スマートフォンの扱いに慣れていないとか、(カードを)渡されても使い方わからないとか...。
町民の方からもマイナポイントが始まった頃には毎日10件や20件の問い合わせがありましたが、理解していただくまで真摯に説明をさせていただきました。

その甲斐あってか、最近では「なんでこの店ではサンセットコインが使えないの?」と、事業者様に営業(?)をしてくれる方や、「このカードがあるから私もう現金持たなくなった」と言ってくれる年配の方などが増えてきているようです。ほかにも町民が、町外に住む知り合いがよく遊びに来るから持たせたいとか、会社の慰労のプレゼントにしたいなどの相談も持ち込まれるようになりました。いろんな使い道があるなぁと感心すると同時に、ここまで町民に愛されるようになっているとは私たちも驚きでした。

電子マネーイメージ

さらに同じ生活圏の隣町の方から、サンセットコインを持ちたいといった話が窓口に来るようにもなりました。そういったときには無償でカードを渡しするか、アプリのインストールをお手伝いするといった対応をさせいただいています。
これをきっかけに、西伊豆町で買い物をしてくれる他町の方が増えてくれるとうれしいですね。

もう町中ではかなり浸透しているんですね。

そうですね。もう知らない人はいないんじゃないかと思っています。今年度始まったマイナポイント第2弾にも参画しているのですが、すでに住民の半数近くは申請されているようですよ。個人的にはサンセットコインを他の電子マネーにも、クレジットカードにも負けないくらい利用される電子通貨にして行きたいと考えています。もちろん現金にもね(笑)。

サンセットコイン普及に成功した最大の理由は何だとお考えですか?

事業所様に寄り添う。大げさですけど事業者様との信頼関係を築いたことだと思います。お金が絡むことなので、やはり不安がありますよね。その不安を解消するために、役場総出で、迅速に対応する体制を取ってきたことが大きかったと。

当然10%還元などの事業もありましたけど、根底はそこにあると考えています。例えばスーパーに行った時も買い物前にレジへ向かい、レジ打ちをしている従業員の方と端末の確認をしたりとか、そう行ったことを心がけながらやってきたので、町民の方にいい印象を持っていただいているのではないかと思っています。

町の暮らしを豊かにする
サンセットコインの活用法とは

サンセットコインを利用した観光プランがあるとお聞きしましたが?

ツッテ西伊豆

「ツッテ西伊豆」ですね。これは釣り人が釣った魚を、サンセットコインで買い取るというものです。これを町内の飲食店や宿泊施設で利用できるサンセットコインに変えれば利便性も高くなるので、町内への経済効果も期待できるのでは?と考えてスタートさせました。

今どれくらいの方が利用されていますか。

最初は普段から釣りをやっている方がメインで、なかなか観光客が利用しにくい雰囲気だったんです。でも昨年から釣り船で道具を丸ごと一式レンタル可能にし、体一つで釣りを楽しめるようにすると、家族連れなど新規のお客様が一気に増えました。利用者数は右肩上がりで大変好評をいただいています。一人当たりの買い取り額の平均は2,000〜3,000ポイントで、高級魚介料理も十分食べられるだけの魚を釣り上げている方が多いようですね。

ツッテ西伊豆の使い方

今後もサンセットコインを使った観光誘致をお考えですか?

昨年までは山梨県と静岡県の方が西伊豆町に宿泊された時にポイントをプレゼントする「富士山キャンペーン」というのをやっていたんですが、今後はもうすこし対象エリアを広げようかという話は出ています。詳細についてはまだこれから。GOTOキャンペーンなどもありますので、その要綱などを確認してからになるかと思います。

修学旅行を誘致して、学生にポイントを配り町内で消費してもらうといったことも考えてはいるのですが、サンセットコインを使った観光誘致は、正直「ツッテ西伊豆」以外はまだまだこれからの状態です。

海岸

サンセットコインを移住定住促進に役立てたりする予定は?

この先数十年のことを考え、空き家関係のサポートなど移住定住にはかなり力を入れていますが、サンセットコインの利用についてはまだ考えられていない状態です。移住後に新規開業を考えている方のサポートに利用できないかな、といった漠然としたイメージは持っていますけど、これから役場内でも議論をしていこうと考えています。

今後の目標について教えてください。

そうですね、一番の目標は町外に当然のように流れていた消費を元に戻す。例えば出かけた先で、ちょっとこれを買おうかなと思った時に、いやいや西伊豆町に帰って買えばサンセットコインが使えるじゃないか、みたいな感じに持っていけば、あと数年経てば町内消費が当たり前の社会になってくるのではないかなと。そこをめざしたいと考えています。

地域通貨の導入を考えている自治体にひと言アドバイスをお願いします。

先にも言いましたが、やはり事業者様と信頼関係を築くことが大切だと思います。通貨は使える場所があって初めて活きるもの。利用できるお店が多ければ多いほどその価値は高くなります。事業者様、特に高齢者のオーナーが多い小さな町の場合は、その仕組みやメリット、もちろんデメリットも丁寧に説明し、ご理解していただけなければ地域通貨の普及は難しいと思います。

山本 友也
山本 友也
西伊豆町役場 まちづくり課主幹 兼 商工係長
ページトップへ戻る
この記事をシェアする