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自治体主導で産業スマート化? 全国から注目を集める「佐賀県産業スマート化センター」とは
自治体主導で積極的にDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している佐賀県。 2018年に設立された「佐賀県産業スマート化センター」は県内企業に対する先進技術の導入支援や成長支援を行うほか、IT企業や大学・教育機関などを結びつけるハブとしても活躍し話題に。 全国でもいち早く自治体主導でIT産業の振興に乗り出したきっかけや、昨今大企業でも取り入れられているリスキリング(学び直し)の機会の提供など、県やセンターのこれまでの事例を交えつつインタビュー。今後あるべき地域のDXの姿について語ってもらった。
北村 和人
北村 和人
佐賀県産業労働部DXスタートアップ総括監
石橋 俊介
石橋 俊介
佐賀県産業スマート化センター センター長

自治体主導で産業をスマート化?

会議イメージ

産業スマート化センターが設立された経緯についてお聞かせください

北村
佐賀県がIT産業の振興を始めたのは2013年頃からでして、これは全国的に見てもすごく早かったんです。その背景として佐賀県の人口減少・流出の問題がありました。2000年代半ばぐらいから、高校卒業後に進学や就職で県外に出ていく学生の割合が全国的に見ても非常に多く、佐賀から若い人がどんどんいなくなっていたんです。
それでも以前は、人を輩出する地方には、いわばその「見返り」のような形で中央政府から補助金などによる補填がされていましたが、県民経済計算などのデータを見ると、それも2003年の「三位一体の改革」をきっかけに弱まっています。
つまり、ヒト(余剰労働力)とカネ(家計の貯蓄超過)を都会に輩出し、その見返りとして都会から成長の果実の再分配を受ける。そんな典型的な地方の経済モデルが成り立たない時代になったんです。

イメージ

そうなれば、もはや地域社会の持続可能性に関わる問題です。一刻も早く地域産業の生産性を引き上げ、都市部と比べて低い賃金水準を改善しなければならない。また、主力産業である製造業だけに頼るのではなく、ITをはじめいろんな産業を興し、多様な就業機会を作っていかなくてはなりません。
そういった流れがあって、2013年頃から特にIT産業の振興、産業のDX、スタートアップ企業の発掘・育成という部分に力を入れてきた流れの中で、2018年に産業スマート化センターが誕生しました。

佐賀県産業スマート化センター

センター設立以前の、佐賀県内の各産業におけるデジタル化はどのようなものだったのでしょうか?

北村
以前は地域産業支援センター(現:産業イノベーションセンター)という施設に、ITコーディネーターを置き、県内企業からの相談などに対応していました。
佐賀県はもともと経済規模が大きくはないので数は限られますが、ユニークなIT企業がいくつかあり、2013年頃から県がIT産業の振興を進める中で、それらの会社も一緒に成長してきたんです。
しかし、その結果、何が起こったかというと、IT企業は先進的なビジネスをやり始めているのに対して、非IT企業はそれになかなかついていけていないという状況に陥ったんですね。
この大きなギャップをどう埋めようかと考え、IT企業と非IT企業どちらの支援にも長けた施設、枠組みを作ろう、という流れからスマート化センターができたんです。

センターが設立されて、その状況はどう変わったんですか?

石橋
センターがあることで、デジタルに関して相談できる窓口が明確になった、というのは県内企業にとって大きい変化かもしれません。センターの利用者数も、初年度・2年目は延1,500名ほどでしたが、昨年度は延3,000名を超えました。
相談の内容も、最初の頃は「AIやIoTに興味がある」という漠然としたものが多かったんですが、最近は例えば人手不足をなんとかしたい、業務を効率的に見直したい、データをもっと活用したいなど、経営課題を意識してその改善のためにデジタルを活用する、といったものが増えています。センター側もこうした変化を踏まえて、例えばこれまでの一対一のマッチングから、相談に来た利用企業が説明会を開催し、そこに協力企業に参加いただき、一斉に提案を募るなど新しい方式を取り入れるようになりました。

センターをはじめとした事業を展開するDXスタートアップ推進室とは?

佐賀県産業スマート化センター

北村
DXスタートアップ推進室ができたのは2020年のことです。以前は産業労働部にある産業企画課や新産業課というセクションの中で行っていたDXやスタートアップ関連の業務を一元的に集約し、いわば「独立」させることで室に裁量権を与え、もっと機動的に動けるようにと設立しました。

DX・スタートアップ推進室の仕事を受けるという立場の石橋さん、実際にやってみてどうですか?

石橋
機動力や柔軟性というのは実際、感じます。行政からの受託事業というと、手続きが結構、細かくあって、意思決定も時間がかかることも多いんですが、センターの仕事の場合、あまりそういう場面はないんですね。投げかけるとだいたい、室のメンバーからすぐにレスポンスが返ってくる。
割と目まぐるしく変化していくフィールドなので、その辺でのやりやすさは感じます。

IT人材不足を地域で育む

センター設立後、企業のIT化やマッチングを進めていく中で、どのような課題や問題にぶつかりましたか?

石橋
非IT企業に関しては、DXに取り組むようになったことで、新たにIT人材が必要になったという話が出てきました。同時にIT企業からも、新しくAIや機械学習、IoTを始めたことにより、まだまだIT人材が足りない、在籍中のIT人材もスキルを磨かないといけないという話が出てきまして、これは何とかしないといけないと県とも話をしていくうちに、県の新たな取組のひとつとして「SAGA Smart Samurai ゼロから学ぶプログラミング塾」が始まったんです。

DX人材育成・確保への主な取り組み

DX人材育成・確保への主な取り組み

無料でPython(パイソン)プログラミングが学べると話題になった講座ですね。実際の反響はいかがでしたか?

北村
4ヶ月間にわたってPythonを学習できる講座でして、定員100名で募集をかけたところ700人を超える応募がありました。昨年は200名まで枠を増やしましたが、こちらも800名以上の応募があり、反響の大きさを改めて実感しました。
今年からは新たに「Smart SAGA Smart Ninja ~DX即戦力人材育成講座~」の募集を始めました。NinjaではSaaS(サース)やNoCode(ノーコード)を使って、社内の業務効率化のスキルやテクニックを学ぶことができます。

リスキリングの機会を自治体が主導することについてどうお思いですか?

プログラミングイメージ

北村
もし、民間で同じような機会があるのであれば、自治体がやる必要はないのかもしれません。しかし、機会がないのであれば、少なくとも最初のきっかけは自治体が作るべきではないかと思うんです。特に地方の場合、都市部と違ってもともと人口も多くありませんし、ニーズがあったとしてもマーケットとして顕在化しづらいので、その意味・意義はあると思っています。また仮に民間にその機会があったとしても、それがビジネスベースなのであれば、セーフティネットの観点として自治体も一緒に動くべきかと思います。

学び直した後の変化とは?

修了された方の活躍はいかがでしょうか? また、講座や勉強会を実施されて以降、県内企業の意識や製品、サービスに、何か兆しや変化が現れましたか?

石橋
在職者の方の例で言うと、製造業に勤められている方がAIとかIoTを使って検品を無人化したり、工場勤務の方がデータ取得をオートマチックにして社員全員が共有できる仕組みを作ったりなど、こちらが想像していた以上にすごいことを実現されていらっしゃいます。

プログラミングイメージ

求職者の中にも、以前は就職支援のセーフティネット施設に通われた方が、エンジニアとして就職し、今では機械学習などを用いたビジネスを生み出すチームの一員として活躍されていらっしゃいます。
企業単位で考えると、様々な分野でいろんな技術が活用されていて、農業分野ではリモートセンシング、建設分野ではIoTを使った河川の調査、観光分野ではWi-Fiを使った人流データ取得など。DXに意欲や関心があるところは、目に見えて進化しているように思います。

北村
そうですね。ただ反面、意欲や関心のある企業がまだまだ少数派で、様子見をしている企業の方が多数派なんですね。しかも、その差はどんどん開いている。これまでは点としてサポートをしてきたものを、これからは面で捉えて、広げていくっていうことが課題と思います。

今後あるべき地域のDXの姿とは

IT人材不足をはじめ、地域が抱える様々な問題の解決に向けて積極的な佐賀県ですが、今後さらにとり組んでいきたいこととは?

北村
先ほど申し上げた面で捉えて広げていくための取り組みとして、今年度は新たにDXコミュニケータとDXアクセラレータをスタートさせる予定です。
DXコミュニケータはDXをまだためらっている企業や、DXの存在に気づいていない企業にITの専門企業を訪問させる。様子見している企業がたくさんあるんだったら、"待たずにこっちから出て行こう!"という、ある意味押売りですね(笑)。目標は高く、年間1000件訪問する予定です。
DXアクセラレータはスマート化センターの相談案件の中からモデル的な事例を選定して、3〜6ヶ月にわたって伴走支援をするという取り組みです。

DXコミュニケータ&アクセラレータ

DXコミュニケータ&アクセラレータ

石橋
佐賀はイノベーションを起こしたいと思っている人が多く、それはSAGA Smart Samuraiの応募者数にもよく現れています。これは他の都道府県にはないアドバンテージだと思います。
今後もイノベーションを起こしたい人たちが"これは良い機会だ"と思えるようなものを、提供し続ける。その点で言えば、スマート化センターというのは全国的に見ても、かなり進んだ施設です。他の自治体からも非常に注目されていますが、同じように実現できているところはまだ少ないのかなと思います。

北村
コロナ禍を踏まえて、これだけ世の中が変化している中で、現状維持はイコール退歩だと思っています。立ち止まってるつもりでも周りがどんどん変わっていきますから、やはり進み続けなければいけません。これからも地域のDXのあるべき姿を、最先端で実現し続けられるように邁進していきます。

北村 和人
北村 和人
新卒で佐賀県入庁。採用部局である水産局でノリ養殖業の協業化を立ち上げ。以来、救急医療・災害医療の体制整備や学力調査を活用した学力向上・学校組織マネジメント、ふるさと納税によるNPO支援制度など各分野で新たな取組みを手掛ける。産業労働部には9年前から在籍、IT産業の振興や起業・創業支援、産業人材の育成・確保に取り組む。現在は、佐賀県産業労働部DX・スタートアップ総括監(兼DX・スタートアップ推進室長)。
石橋 俊介
石橋 俊介
高校卒業後、プロミュージシャンになると心に決めロサンゼルスで音楽活動を展開。その後、某大手レコード会社に九州担当のプロモーターとして新たな道を歩み始める。 もっと深くビジネスを学びたいという意志が強くなり、ベンチャー企業へキャリアチェンジ。展示会担当者や広報などのマーケティングを担当しながらも、植物工場の事業企画など幅広く経験を積んだ後、建設業へ転職。経営戦略室の室長として事業再生を実施。 現在、「佐賀県産業スマート化センター」のセンター長として施設を運営しながら、地域の企業へDXコンサルティングやマーケティング支援を提供する活動を行っている。
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