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地域の明るい未来図を共に描き発見する場所

デジタル空間でもうひとつの都市を再現し、交通渋滞を無くす?!
100万年以上も前の石器から人類は道具やテクノロジーを発達させることで進化を続けてきました。 ここでは最近話題の「どこかで聞いたことあるけど、イマイチよく分からない」テクノロジーについて、それらがなぜ今、注目され、私達の未来の仕事や生活にどういった影響を与える可能性があるのかについて、分かりやすく説明していきます。 まず、その記念すべき第一回目は『デジタルツイン』についてお話ししたいと思います。

デジタルの時代。デジタルツインとは?

最近、会社だけでなく、国もデジタル庁を新たに創設するなど「これからはデジタルの時代だ」と言われています。ではなぜデジタルがもてはやされているかというと、これまでアナログだったものがデジタルになることで、これまで人間が手間暇かかってやっていたことをコンピュータが自動的にやってくれてとても便利になるからです。そんなデジタルの中で特に注目されているのがデジタルツインです。

デジタルツイン(Digital Twin)はその名の通り「デジタル空間上の双子」を意味します。デジタルツインは現実に存在するものの形だけでなく、その性質や状態などを情報化・データ化したものです。メタバースとよく混同されますが、それぞれの技術が目指している目的の観点からいうと大きな違いがあります。メタバースはデジタル空間上での「人の交流」を目的としているのに対して、デジタルツインは離れた場所にあるものの状態を精細に把握することで、モニタリングやシミュレーションに活用することを目的としています。

テクノロジーの変遷 テクノロジーの変遷

50年以上前、アポロ13号の地球生還に貢献した「ツイン」の存在

遠方にあるものと同じ状態のツインを持つことの有効性は50年以上も前に実証されています。それは1970年に起きたNASAのアポロ13号での事故の対応です。もちろん50年以上も前のことですので、知らない人がほとんどかと思います。これは月面探査に出かけたアポロ13号が地球から33万km離れた宇宙で酸素タンクの爆発事故を起こし、乗組員が本当に絶体絶命の危険にさらされたにもかかわらず、わずかに残った酸素、水、電力を利用して地球に生還したというものです。

月面

実は、この生還を可能にしたのは、地上に用意されていたアポロ13号と全く同じ状態の「ツイン」の存在でした。もちろん、このツインはVRでもデジタルでもありません。むしろ、リアルもしくはアナログの双子といえる存在です。当時、地上のコントロールセンタはアポロ13号が逐次送られてくる情報をもとにこのアナログの双子を使い状況を把握・分析し打開策を模索し続けました。特にアポロ13号内の二酸化炭素が増加した危機的状況のときに、地上のアポロ13号の双子にある使える機器を組み合すことで問題解決の手段を見つけ出し、その結果を宇宙空間で苦戦するアポロ13号に伝え、乗組員が実践することで危機を乗り越えることができたのです。

デジタルツインの真骨頂はシミュレーション

今ではコンピュータ処理能力の飛躍的な向上、インターネットの普及と各種センサ技術の進歩により、ものの状態がデータ化され仮想空間上にデジタルツインとして再現できるようになりました。このデジタルツインによってリアルタイムで機器のモニタリングができるようになったほか、製品の開発段 階においては、試作品をつくる必要がなくなったことで、開発期間を短縮につながりました。また、デジタルツインは条件を変えて何度でもシミュレーションが可能ですので、製品の欠陥の発見に役立ち品質向上にも役立っています。 そうしたデジタルツインの活用事例を紹介します。

航空機エンジンのデジタルツイン

代表例は飛行中のエンジンのデジタルツインです。今では飛行中のエンジン内に設置された無数のセンサがその様子を測定し、データが地上に送り込まれ、デジタル上に再現されたエンジン上でモニタリングされています。これまでは着陸後の機体整備でエンジンに不調が検知されて必要に応じて部品交換等がされました。しかし、その交換部品のストックがない場合は他の場所からその機体が駐機している空港まで運び込む必要があり、多大な時間を要すことになります。そうなると、出発時間の遅延につながり、乗客の不満のもととなります。実は航空会社にとっての損害は顧客の不満だけではすみません。飛行機の出発が長時間遅延した場合、乗客への食事代や宿泊代の提供など大きな出費がともないます。さらに航空機の乗組員は綿密なスケジュールでシフトが組まれていますので、大幅な遅延によりシフトを組みなおしで多大な労力がかかります。

航空機エンジン

こうしてエンジン端を発した運航遅延は数珠つなぎ的にマイナスの影響が拡大し、もともと利益率が高くない航空業界では大きな損害につながっていました。そうした中、デジタルツインで飛行中の機体のエンジンの状態がリアルタイムで把握できることで次のような対策が可能となりました。飛行中のエンジンのデジタルツインでアラートが発生した場合、着陸前にメンテが必要な個所や交換が必要な部品の手配が可能となり、駐機後すぐにメンテと部品交換に着手することができるようになります。これにより遅延が最小化し、顧客満足度の維持だけでなく、これまで経営を圧迫してきた損害の回避が可能となりました。

デジタルツインでコロナ感染拡大防止

デジタルツインの真骨頂はシミュレーションといえます。コロナ禍では飛沫による感染を回避するために室内ではパーティションが設置されるなど様々な工夫がされました。しかしながら、目に見えない飛沫の飛び方は人の座っている位置や距離、空気の流れ等の要素で大きく変動しますので、パーティションの設置といった対策が実際にどの程度の効果があるかは測定できませんでした。デジタルツインはそのような課題に対しても解決する可能性を提供しています。現在、トライアルがなされている事例としては、新たな引越し先のオフィス空間について精密なデジタルツインを構築し、設備の配置の他、空調や人の居場所を条件設定し、シミュレーションすることによって飛沫の飛散の状態を可視化して感染リスクを低減する取組みがなされています。

国を丸ごとデジタルツイン化し社会課題の対策へ

都市国家シンガポールでは、これまでも様々な先進的な取組が行われてきました。特に、「バーチャルシンガポール」と呼ばれるプロジェクトは2014年からスタートしており、国まるごとデジタルツインを作るという壮大なものです。シンガポールは人口密度が高く、道路は整備されているものの、都市開発が盛んにおこなわれているため、工事も多く交通渋滞といった課題が存在しています。

都市国家シンガポール

その一つの理由は官公庁間の連携が悪いことにありました。例えば水道管の工事とガス管の工事が同じ地区で行われる場合、一つの工事ごとに道路を掘っては埋めるを繰り返し、長期間道路が閉鎖されることがありました。こうした社会課題の解決策としてバーチャル空間上に都市のデジタルツインをつくり、道路やビルを新たに建設する箇所の交通状況の見える化をおこない、関係者間で共有することで最適な解決策の検討と縦割り行政による弊害の回避を試みています。他にも太陽光パネルの設置場所の検討など様々な応用が検討されています。このプロジェクトは政府機関のシンガポール国立研究財団が主導していますが、民間に開放することにより新たなイノベーションの起爆剤となることが期待されています。

デジタルツインは進むよどこまでも

こうしてデジタルツインはコンピュータの性能の向上とともに、その対象はモノから国レベルまでどんどん広がっています。そんな中、人のデジタルツインの研究もなされています。最先端の研究では人の身体的特徴だけでなく個性や感性、思考、技能などを含む内面も再現したデジタルツインが目指されているとのことです。こうした人のデジタルツインの技術がもし完成すると、自分に代わってオンライン会議で議論をすることができるようになるかもしれません。またシミュレーションの条件を変えることによって、過去や未来の自分とも会話できるかもしれません。最後はややSF的なお話になりましたが、デジタルツインはその対象を物理的な制約から解放することで、コスト削減だけではなく、シミュレーションを通じて私達に新たな気づきと可能性を与えてくれる存在なのです。

デジタルツインを構成する技術要素

#センシング
測定対象の状態をセンサと呼ばれる検知器や測定器等をもちいて定量的な情報とする技術です。様々な情報がデジタル化されることで応用範囲が急拡大しています。

#シミュレーション
データを利用して、実際の場合と同じ結果を得ようとする実験を可能にする技術です。コンピュータ処理能力の向上で従来長時間かかった複雑なものも短時間でおこなえるようになっています。

#AI(人工知能)
コンピュータを使って人間の知能の働きを実現するものです。長年研究されてきましたが、近年急速に実用化が進んでいます。

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