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神戸市発、PHRが叶える〝街ぐるみ〟のヘルスケアって?
「理化学研究所 神戸キャンパス」をはじめとする最先端の研究機関を持つほか、地域の中核病院である「神戸市立医療センター中央市民病院」が、厚労省が発表する救命救急センターの評価結果で8年連続全国第1位を獲得するなど、医療分野において高い成果を上げている神戸。そんな〝医療の街〟が新たに推進しているのが、個人のカラダ情報であるPHR(パーソナルヘルスレコード)やライフログのデータを用いて市民の健康づくりをサポートする健康管理アプリなどを用いた「MY CONDITION KOBE」の活用だ。開発・導入の立役者である神戸市 健康局 健康企画課 健康データ活用専門官の三木竜介さんに、自治体が医療やヘルスケアのデータ活用に取り組む意義や、理想の健康づくりの形を伺った。
三木 竜介
三木 竜介
神戸市 健康局 健康企画課 健康データ活用専門官
株式会社リンクアンドコミュニケーションCMO
医師、社会健康医学修士(専門職)

データを活用して、神戸市民を健康にしたい

医療分野の取り組みが盛んな神戸の街の印象は?

神戸の街

地理的な広がりがあまりないコンパクトな場所に医療機関が密集しているため、地域医療連携もしやすくいい街だなと感じています。医師として自分のやりたいことを一番やらせてもらえたのも長く勤めさせていただいた神戸の中核病院でしたし、現在も市内在住です。個人的にも愛着がある場所ですね。

現在は非常勤職員として週に一度、神戸市の行政医師として勤務されています。どういった取り組みをされているのかお聞かせください。

所属している神戸市健康局は、神戸市民の健康を広く考えるという部署です。さらに健康企画課という名前の通り、市民の健康づくりに関する施策を企画・実行するという役割も担っています。

三木竜介さん

とはいえ、「健康づくり」と一口に言っても非常に幅が広いですよね。健診を多くの人に受けてもらうことも、癌を早期発見するために検査を受けてもらうことも、お年寄りの足腰が弱らないような取り組みをすることもすべて健康づくりに含まれます。そういったミクロな施策を行う別の担当部署もありますが、僕が主に取り組んでいるのは神戸市民の健康データを分析・活用し、その効果を検証するという仕事です。

そうした活動の一環として誕生したのが、2019年に誕生した市民PHRシステム「MY CONDITION KOBE」なんですね。リリースに至るにはどんな経緯があったのでしょうか。

市民PHRシステム「MY CONDITION KOBE」

理化学研究所や中央市民病院など、ポートアイランドには神戸医療産業都市という医療産業の集積地があります。医療関連企業の誘致活動などを通して経済活動としては一定の成果を収めていますが、一般社団法人神戸経済同友会から「市民が直接的に享受できるような何らかのサービスを作った方がいいのではないのか?」という市長への提言があったことが始まりでした。

そこで2017年、誰もが健康になれる街をめざす「健康創造都市KOBE推進会議」という協議会が組成されました。その中で、データを活用し課題解決を試みるデータドリブンが大切だよねと話し合い、市民に対するPHRシステムを作ってみたらどうかという着想を得たんです。DX(デジタルトランスフォーメーション)の走りですね。

公的機関&民間企業のタッグでサポート

健康管理アプリの基本的な仕様について教えてください。

まず、利用できるのは神戸市民であるか、神戸市内に本社や支社、事業所等を置く企業の社員(※)の方です。
※企業がアプリ利用に関する契約を神戸市と締結している場合

年齢や性別に応じたコンテンツを出し分けるといった類のサービスはよくありますが、このアプリの一番の特徴は、個人に最適化した健康づくりのためのアドバイスが得られるということなんですね。

ライフログイメージ

毎日の食事や歩数などの普段の生活のデータを僕らは「ライフログ」と呼んでいるのですが、スマホと連携させることでライフログの入力を容易にすることができます。例えば食事なら、撮影した食べ物の写真をAIに認識させることで栄養素が自動で入力されます。スマートウォッチと連携させれば睡眠や運動といった情報を集約させることもできますし、健診データをアプリに取り込むこともできます。

そうしたデータから、例えば足りていない栄養素を取るための個人に合わせた具体的なアドバイスを即座にもらうことができ、その数は約2億パターンにもなります。

ほかにもユーザーに向けたアプリのサービスはありますか?

2022年5月のアプリリニューアルのタイミングで、民間企業との協業が強化されました。具体的には、「健康サポーター」として登録されたスーパーやスポーツジムなどから健康づくりに役立つ情報が届くというもの。例えばアプリを使用していて野菜不足であることが判明した人に対して、近所のスーパーから野菜の値引きクーポンが届くような仕組みです。公的機関と民間の事業者が手を組んでサポートすることで、市民が享受できる健康サービスの幅が今までより格段に広がりました。

一人ひとりに合った健康づくりができますね。

これまでは病気をいかに治して社会復帰するかというところに着目されていましたが、そもそも病気にならないような健康づくりを、従来の人海戦術的なやり方ではなく、デジタルを使って個人が楽しめるようになればいいなと考えました。支える人よりも支えられる人が増えていく中で、公的機関の人的資源でもって運用するのは必ず行き詰まりがありますから。

市民の健康を俯瞰で管理する国内初のデータ活用

自治体がデータを活用することで得られるメリットについて、どのようにお考えでしょうか?

利用者が入力したデータを活用するPHRシステムがある一方で、神戸市では「ヘルスケアデータ連携システム」の運用も行なっています。こちらは、これまで別々に記録されていた神戸市民個人の医療や介護のレセプトデータ、健診や予防接種等のデータをまとめて個人に紐付けるというもの。ヘルスケアデータ連携システムを使うことで、今度は市民全体の健康状態を俯瞰しやすくなります。

具体的な活用例でいうとどのようなものがありますか?

医療イメージ

新型コロナウイルスの流行が始まった頃に、急を要する患者の受診ができていないのではという声がありました。そこで新型コロナが流行する前後の神戸市内のデータを比較分析することで、神戸市の医療の受け入れ態勢がきちんと機能していたこともわかりました。

また、例えばですが、市民全体の中で癌になるのが一番多い年代はどの層なんだろう? といった視点でデータを読み解くとします。仮に70代がそのピークだとしたら、70代以降にがん検診の案内を送るのは理にかなっていないですよね。じゃあもっと早い段階で送るようにしましょう、と的確な対策ができます。

毎年の傾向を見ることで今後問題になりうるポイントを探ることも可能です。高血圧の患者さんがじわじわ増加している事実がわかれば、高血圧で起こりうる脳出血などの病気の増加にも注意を払うことができますよね。

健康アプリは市民の皆さんに直接的なメリットを感じてもらえる一方で、こうしたマクロなデータ分析を施策に反映させていくことは、長い時間軸で考えると間接的に市民の健康に恩恵があると考えています。

めざすのは、誰もが健康になれる街

こうしたデータを、今後さらにどのように活用していきたいと考えますか?

相関図イメージ

民間企業同士が手を取って新しい医療・ヘルスケアサービスを生み出すというのが今後の一つの方向性だと考えます。例えば、医者にかかる際にもアプリから予約やオンライン診療を受けることがきるシステムも開発可能です。本人同意をもとに、過去の医療データを参照できるとなおよいですね。自宅にいながら口の中の写真を撮影して、自動的にそれが扁桃腺炎なのか、もしくはインフルエンザの可能性が高いのか、ただの風邪なのかということをAIで判別させ、さらに医者が画面上でダブルチェックを行います。そして登録していたクレジットカードで決済され、その日のうちに薬が届くようなイメージですね。こうした一連の流れの体験は、公的機関だけではどうしても実現できません。

さらにもう一つの方向性としては、ビッグデータを活用した新しいプロダクトの作成です。何百万枚と撮影した口の中の画像データと実際に医者の下した診断を紐付けることで、データから病名を判断するプログラムを作ることは可能です。ただし非常に莫大なデータが必要となり、全て同意を得ながら集めるのは現実的に相当難しいこと。なので、市民の公益に資するものに関しては市が保有するビッグデータを活用するのがいいのではと個人的には考えています。

最後に、三木さんが個人的にめざす理想の未来像を教えてください。

先ほどお話しした新しい医療・ヘルスケアサービスを創ることが一つ。そしてもう一つ、健康格差対策にデータを生かしたいですね。健康的な行動を意識的に取れない人が一定数必ず存在しますから、そういった人たちでも知らず知らずのうちに健康的な行動ができるような街のデザインができたらいいなと思うんです。

家族イメージ

例えば駅のエスカレーターを使わずに階段を使用すれば何かインセンティブがもらえるとか、街のハード部分に仕掛けを作り、実際に住民が自然に健康になれるのかどうかをデータを使って検証したいなと。人の行動が知らない間に変わって、知らない間に健康になれる。そんな街が作れたらいいなと考えています。

あとは、人と人が交流する接点を増やす仕組みができれば孤立も減らせるのではと思います。繋がりがあることで幸福感が上がることは様々な研究でも示されており、帰属感みたいなものが感じられる機会がたくさんある街になるといいと思います。そうした公益性の高いことにもデータを使えたらいいですよね。データを使った成果を、きっちりと市民のみなさんに返していくということをやっていかないといけないと考えています。

三木 竜介
三木 竜介
1990年から中学高校とアメリカで過ごす。 2002年九州大学医学部卒業後は、地域の中核病院にて、17年間臨床に従事。 2018年京都大学大学院社会健康医学系専攻修了。 以後、神戸市にて市民PHRやヘルスケアデータ連携システムに代表されるヘルスケアデータ利活用の為の情報基盤の整備や、デジタルヘルスサービス開発などに従事。2021年株式会社リンクアンドコミュニケーションCMOに就任。
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